中村卓(ナカムラスグル):建築家・デザイナー/博士(デザイン学) 

ちょっとよそにはない


デザインというと、なんとなくおしゃれな感じだとか、高価な感じだとか、それこそ千差万別、いろいろな受け取り方があると思います。
多様な価値観がある中で、私がいいなと思うのは「ちょっとよそにはない」ということ。

たとえば、築古の共同住宅の、その北側の狭い隙間に設置された錆びて使えなくなっている非常階段のスペースをサロンにデザインすること。たとえば、なんでもない団地の一室をダイヤ モンド型に間仕切ることができる特徴的なデザインとすること。壁がテーブルになるインテリアをデザインしたり、切りっぱなしの板材で住宅をデザインしたり。ほかにもコーヒーやカレーは漢字で表記されるなら、パンも漢字でもいいはずという考えからデザインしたパン屋さんのロゴ。草花に水やりをするように、水をかけると立体的に立ち上がる形状記憶のシワ(=構造体)による椅子のアイデアなど。

奇をてらうわけではなく、じつはその方がいろんなことがうまくいく。そんな「ちょっとよそにはない発想」で今ある価値観をちょっとだけ刷新していきたい。

ジャンルを問わないおもしろいデザインの「何 でも屋」。
それがNDL2のデザインワークです。

 デザイン=関係美学


約150年前に海外から持ち込まれた「デザイン」という考え方。当時の私たち日本人は「意匠」と翻訳しました。考えを巧みに形にすることという意味と受け取って良いでしょう。それから今日まで、社会の状況は著しくかつ絶え間なく変化してきました。

私は、今日におけるデザインは「意匠」ということだけでは語れないと考えます。なぜなら、現代はかつてとは異なり、より複雑な「関係」によって成り立っているからです。

たとえば無垢の木材を使えばコストが関係します。建築をつくる時には多種多様な人たちと関 わります。現代社会に生きる私たちは、かつてないほどの複雑な関係について考えなければなりません。それを新しいアイデアで一挙に美しく構築する、まさに強くて美しい関係をつくるのが「デザイン」だと私は考えます。

デザインはセンスや才能ではなく、絵が上手いことでもありません。多角的に物事を捉えバランスさせる、極めて論理的な営みなのです。
そうした論理的で視野の広い、次世代のリーダーたちが今後身につけるであろう「デザイン= 関係美学」に子どもの頃から触れる機会を提供したい。
それがNDL2のデザインレッスンです。

経歴


学歴 
■私立巣鴨高等学校卒(東京都)
■筑波大学芸術専門学群建築デザインコース卒
■同大学大学院修士課程芸術研究科デザイン専攻建築デザイン領域修了(デザイン学修士)
■同大学大学院博士後期課程人間総合科学研究科芸術専攻建築デザイン領域修了
 (デザイン学博士)
■博士後期課程在学中、オランダ・デルフト工科大学(TU Delft)にて海外派遣研究員
職歴 
■神戸芸術工科大学(専任教員)
■明石工業高等専門学校(非常勤講師)
■摂南大学(非常勤講師)
■京都美術工芸大学(専任教員/非常勤講師),大阪産業大学(非常勤講師),現職
■2017年よりデザイン事務所
「NDL2/第二次中村研究室」主宰
受賞歴等 
■社団法人日本建築家協会「第6回JIA茨城 学生卒業設計コンクール」優秀賞
■日本デザイン学会 第57回春季研究発表大会(長野)グッド・プレゼンテーション賞
■長屋改修による「キオスク」付シェアハウス「禅昌寺キオスク」(GOOD DESIGN)
■3つの住戸による駐車場のリノベーション「禅昌寺ガレージ:地域資源としての 駐車場再生プロジェクト Y’s house 13」(GOOD DESIGN)
■サンゲツデザインアワード2022 ファイナリスト賞受賞など